いつの時代にも「アイドル」という存在はいる。
それは職業としても憧れとしても。
ここでは職業として「アイドル」をしている人達について話そうと思う。
よくアイドルオタクをしていて見かける言葉
「推しが変わったから応援出来ない」
「前はこんなことしなかった」
「運営が悪い」
私自身もアイドルオタクをしていてよく見かける。
アイドルは確かに画面の向こうで、もしくはステージの上で私たちオタクに夢と幸せを与えてくれる存在だ。
だからこそ現実味がないと感じるのかもしれない。
塩対応
こんな言葉も昔はよく見かけた。
アイドルによくある接触系イベントでドライな対応をするアイドルに対して使われた言葉だ。
でも、どこからが塩対応なんだろうか。
私は如何せん推しを崇拝するタイプのオタクなので
そこに対応よりかは生きて存在することにありがたみを感じてしまうから。
オタクがアイドルに対して「塩」だと思ってしまう原因の一つとして、「アイドルの固められたイメージによる逸脱」が考えられる。
アイドルは
・キラキラしている
・遠い向こうの存在
・可愛くてかっこいい人達
・夢を与えてくれる
・自分の生きがい
様々なイメージを持つだろう。
でもそのイメージはあくまでオタク自身が持ったものでありアイドル自身の姿ではない。
そう、アイドルはあくまで「仕事」をしているだけ。
オタクが「このアイドルはこういう人だ!」と思うとそのイメージは固定される。きっとそれはアイドルじゃなくても芸能人、もしかしたら顔も知らない話だけ聞いた人でもそういうことがあるかもしれない。
それが「接触出来るアイドル」というジャンルに限った話で言うと「自分の想像しているものと比べて上のもの」だった場合、砂糖対応と言われる。「自分の想像しているものと比べて下のもの」だった場合塩と呼ばれるんじゃないんだろうか。
ここまで書いているとオタクが自分勝手な理想をアイドルに押し付けて厄介をしているように見えなくもないが実際はきっとそうではない。
ここである1つのアイドルソングのリンクを貼ろうと思う
これはジャニーズアイドルグループのSixTONESが歌う「フィギュア」という歌だ。この歌が解禁された時、所謂「応援ソング」という括りだと言われていた気がする。実際私もこの歌を聞いた時とても応援されている気持ちになったし、実際元気が出た。
でもある時コメント欄が気になって開いてみると
「アイドルが『ショーウィンドウに並ぶ僕ら、代替不可であれよフィギュア』って歌うのなんか良いな(ニュアンス)」というコメントを見かけた。
そこで私は彼らがアイドルであるということを思い出し、ジャニーズという大きな看板の下に並ぶ人達だと当たり前だけど再認識した。
アイドル
それは最初ファンの理想であれば良い存在だと思っていた。距離があるからファンは各々の理想像を彼ら(彼女ら)に投影してその姿を崇拝し応援する。
けれどアイドルが職業ということはそこにビジネスが存在する。私は経営や経済に詳しくはないけれど最低限として需要と供給、会社と商品のイメージの大切さくらいは想像出来る。
ファン⟷アイドルの相互関係の間に立つものとして
所謂運営や事務所というものがある。
自己プロデュースで活動しているアイドルもいるが、大多数は事務所に所属しその中でアイドルをしている。
私が好きなアイドルSixTONESもそれは例外ではない。
SixTONESはSixTONESのイメージがあるし、ファンがSixTONESに持つ独自のイメージもある。そしてそれが必ずしも本人とはイコールで繋がれない。
けれどここにビジネスが存在する場合
そこには「会社の商品に対するイメージ」が生まれる。
このアイドルはキラキラしている
このアイドルはマルチに
このアイドルはアーティスト路線で
このアイドルはダンスに特化させよう
それはファンが決められることでもアイドル本人が決められることでもない。そこに第一として存在するのが事務所のグループに対するデザインだから。
服屋に行って服を買う時、そこには服屋と服と客という関係性が生じる。それがアイドルになると、事務所(運営 )とアイドルとオタクになるというだけ。
ただそれだけのことだけど、オタクはそれに気づいた時きっと虚しい気持ちになる。先程にも述べたようにアイドルは夢であり癒しだから。
それが運営や事務所の意向によって本人たちのイメージも自分たちの持つ独自のイメージともかけ離れた存在になった時、きっとオタクは悲しく寂しくなる。
これがアイドルが人間でなければ。
返品されて改良されて進化させられてまた売られる。
けれどアイドルは職業であり私たちと同じように人間だ。
事務所や運営の意向があるのと同じように、オタクが持つ独自のイメージがあるのと同じように、アイドルはアイドルとしてやりたい自分と人間として生きている自分がいる。
この3.4つのバランスを保つことは容易ではない。
なぜならオタクは1人ではなく複数人いて、複数人が皆同じ意見を持ってはいないから。その微妙なバランスに不協和音が生じた時にきっとオタクはオタクで無くなる。
悲しいけれどこのループはきっと無くなることは無い。
けれどアイドルも生きた商品としてそこにこっそり自分たちの意向を馴染ませようとする。
それによってオタクはオタクであることを思い出し、この人たちならばと着いていく。けっきょくはオタクでしかないし、この人たちが好きなだけだから。
ビジネスと夢を天秤にかけた時ちょうどいい釣り合いになる位置なんてきっと存在しないんだと思う。だから自分がその不和をどう置き換えても変わらないくらい強く感じた時、きっとオタクはオタクをやめられるしアイドルはアイドルを辞められるんだろうなって思う。